産婦人科女医の独り言

つぶクリ院長のつぶやきです。ためになる保証はありません。

産休

あの高貴なお方が、産休に入られました。


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上野動物園のパンダ;シンシンちゃんです

是非とも かわいい赤ちゃんを産んで、

今度こそは ちゃんと 育つといいなぁ。


・・・ま、生まれた赤ちゃんパンダは、中国籍

なんですけどね (^_^;)


・・・にしても、パンダは産休がスムースにとれていいですねぇ。



本邦では、なかなか難しいようで、「マタニティーハラスメント」なる言葉も聞いたことがあります。

現内閣が、「少子化解消」に向けていろいろな対策を練っているようですが、

パンダくらい手厚い政策をとればいいんじゃん?などと、無責任な考えを持つ今日この頃です。

(シンシンの前回の出産後、「シンシンの疲労を溜めないため」、赤ちゃんパンダを飼育員が預かりましたよね。
それに対して、『私だって育児疲れなのに預かってもらう人はいないのよ!!』という悲痛な感想を漏らしたお母さん達もいましたよ。。。)


以前、私がまだ大学病院に勤務している頃も、「産休・育休問題」はありました。

医療界、特に産婦人科界は、ご多分にもれず人手不足です。と言うか、ギリギリの人数で診療業務をこなしている。
その中で、一人妊娠すると、「あららら」です。

・・・例えば、ある産婦人科(分娩を扱う)では、6人で当直を回していたとしましょう。6人の産婦人科医が常勤の病院は、それなりに規模が大きい方です。
月30日として、 ひと月5回の当直という計算になります。(学年の違いで、多少の差は普通あります。)

「5回ならいいじゃん。」


と、思ったそこのあなた!


産婦人科は、普通「オンコール」と言うものがあるのです。
以前にも書きましたが、オンコールは自宅待機していて、お産がたてこんだ時や帝王切開になった時などの「助っ人要員」です。
すると、この病院では、「ひと月に5回当直、5回オンコール」という計算になります。
つまりは、「ひと月のうち、10日拘束」となるわけです。

それが、「一人産休」となると、5人で診療を行います。
上記の計算でいくと、「ひと月に6回当直、6回オンコール」となり、「月 12回拘束」となるのです。

日勤の業務もさることながら、拘束も増える・・・ましてや、当直明けも通常業務の病院がほとんどです。
普通の会社ならば、「派遣社員」などを利用して常勤の負担軽減を図るという手立てもありますが、



「派遣産婦人科医」なんていやしません。



(いや、もしかしたら私が聞いたことがないだけで存在しているかも知れませんが・・・。)

そして、人間忙しくなってくると、こころが荒みます。
荒んで、人間関係もぎくしゃくするかも知れません。

ここ10年間に産婦人科には女医が急激に増えました。
それ自体はまことに喜ばしいことですが、女医につきものの妊娠・出産 というイベントに対してのバックアップはまだまだです。
現実には、「自分(女医)の実母の全面的バックアップ」がないと、フルに仕事をするのはかなり難しいのが現状なのです。

上記が、産婦人科のみならず、医療界全体の「女医問題」。
これに伴って「男性医師問題」というのもあるのですが、それはまた後日。

世の中、忙しい(またはブラック企業に酷使されているかも!?)人はたくさんいるかと思いますが、
ウチの業界の話をさせて頂きました。

もちろん、出産はおめでたいことなんだけどね。
妊婦になった女医の努力(そして気づかいも)だけでは解決できるレベルではないと思うのです。

そこんとこヨロシク☆彡 厚生大臣ちゃん☆


おまけ
先月末のコスプレ

(それは、桃太郎であって、キミは金太郎だ!)

今月のコスプレ

・・・そりは、キミが可愛いのではなくて、院長お手製の雨合羽がよくできていたからだっ!