産婦人科女医の独り言

つぶクリ院長のつぶやきです。ためになる保証はありません。

そんなに生理が悪いのか

ご無沙汰です。

突然ですが、「生理」ってなんだかご存知ですか?

 

『シモから血が出て、ブルーな気分になるあれ』

・・・まあ だいたい合ってるんですが、医学的に正確に言うと、

 

生理=月経とは・・・

「妊娠が成立しなかったときに出てくる、剥がれ落ちた子宮内膜と血液」

のことです。(かなりざっくり言っております)

 

現代では、晩婚化や少子化の影響で、一人の女性が一生のうちに経験する月経の数が、昔に比べて増えています。

具体的に言うと・・・

・現代女性の例) 12歳で初潮を迎え、未産婦のまま50歳で閉経。月経は月一回きちんときていた人。 ←こんな人はまずいないのですが、たとえ話です。

12x(50-12)= 456回/一生

 

・江戸時代の女性の例) 15歳で初潮を迎え、月経は月一回きちんときていた人。16歳で嫁ぎ、翌年出産。出産後半年で月経が再開し、また妊娠。トータル8回ほど妊娠。めでたく50歳で閉経。

12x(50-15-1.5x8)=12x23=276/一生

 

・・・おわかりになりましたか? 一生のうち経験する月経回数が、江戸時代に比べて456/276=1.65倍に増えているわけです。

 

月経回数が増えて何が問題かというと、

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ではなくて、(それもあるかもしれないけれど)

 

子宮内膜症のリスクがあがる」

 

と、言われております。

月経のたびに、血液が子宮内から腟のほうに流れ出てきます。

出てくるだけではなく、一部の月経血は、逆流して腹腔内(お腹の中ね)に流れ込むと言われています。

この、「逆流した月経血」が、子宮内膜症を引き起こす原因ではないか?という説が有力視されてきました。(*諸説あり。)

で、月経回数が昔の1.65倍に増えた現代。

「月経回数をもう少し減らした方が体にいいのではないか?」(子宮内膜症の予防になるのでは)

というコンセプトのもと、「約三か月に一度月経を発来させるピル」

というのも発売されております。

生理痛でお悩みの方、試験などの大事な時に生理があたると「パフォーマンスが下がるわあ」とお嘆きの方、どうぞご相談下さい。

(月一回月経を発来させるピルでも、生理痛を抑える効果は高いです)

 

なお、ピルの効果が出るまでには、2-3か月かかりますから、その点はご了解ください。

(月経移動のピルはこの限りではありません)

(当院では、40歳以上の方にピルは処方しておりません。悪しからず)

 

時代は流れてゆきます。

時代とともに、良くなることも多いですが、良いことばかりではないのですねエ。

かといって、昔みたいに「16で嫁に行き17歳から出産が始まる」ということに後戻りはできないんですけれども。

 

以上、

「生理は来ても来なくても心配になるけれど、妊娠予定がないのだったら、ピルで人工的な生理(みたいな出血)にしてコントロールすればいんじゃん?」というお話でした。

 

おまけ ~あっという間にこの季節がきました~ 

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良い子は、火遊びしちゃだめよー