産婦人科女医の独り言

つぶクリ院長のつぶやきです。ためになる保証はありません。

お薬くださーい

(浦和REDSが優勝できなかったせいで、色褪せる駅前ライトアップ。結構きれいなんだけどな〜)

さて、お久しぶりです。

突然ですが、
日本人は、薬が好きな民族と言われています。

世界的に見て、医療費が安いことや、ドラックストアがあちこちにあること、また健康志向の強い人が多い?ことなどが関係あるのかもしれません。

がしかし、単なる「薬好き」とは言えないデータを目にしたので、ここに載せておきます。


*病院で処方された薬の飲み残し総額が、 500億円/1年 というデータあり。
ちなみに、OTC(over the counter;病院ではなく、薬局ですぐ買える薬のこと)の市場は、 年間7930億円 と言われている。

*処方薬でもOTCでもない、いわゆる「サプリメント」(栄養補助食品、健康補助食品とも呼ばれる)の市場は、 年間1兆4746億円 (!!)だそうです。。。。OTCの実に約2倍!
 
500億円飲み残しているのに、(しかもその7割は医療保険から賄われている。)クスリでもなんでもない「サプリ」を、1兆4746億円買っているという事実。

なんだかアホくさ、と思ってしまうのは、私だけでしょうか。


(ワイルドだろぉ?)

お薬というのは、本来体の中には存在しない物質を体に入れることで、体の不調を整えるものです。

なので、すべての薬物(またはサプリ)は、体にとっては毒になる可能性があるのです。

病院で処方されるお薬は、もちろん「利益=効果」が「不利益=副作用」を、大幅に上回ると思える場合に処方されています。
 
上記のことをふまえて、「説明と同意」(いわゆるインフォームドコンセント)を得て処方しているのです。
 
それなりに一生懸命説明して、患者さんが再診されたときに「お薬の効き目はありましたか?」と聞いたところ、「副作用が怖かったので、飲みませんでした」などと言われると、がっかりしてしまいます。。。だったら、初めから言ってもらえば処方しなかったのに。(薬を飲むのか飲まないのかを決めるのはもちろんご本人なのですが。)
 
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そうそう、最近よく言われるのですが、 「風邪ひいたので(ついでに)風邪薬下さい」 と。

これも、日本特有の発想だと思います。

なぜなら、「風邪に特効薬はない」のですから。薬価の高い諸外国では、「風邪は寝て治す!」のが普通。

いわゆる「風邪」というのは一般用語であって、医療用語・正しい病名ではありません。

「ウィルスによって引き起こされる、主に呼吸器症状」のことを風邪と言い慣わしているのです。

そして、「風邪症状を引き起こすウィルスを殺す薬」というのはまだ開発されていないのです。

一般的に「風邪薬」と称されるものは、正確に言うと「風邪症状を緩和する薬」です。つまり、

熱→解熱剤
のどの痛み→鎮痛剤・抗炎症剤
咳→咳止め

など数種類の薬品が配合されています。

ただね、確かに風邪は辛いけれど、症状っていうのは、「体に入ったウィルスを追い出す・殺すために体が反応している状態」なのですよ。

ですから、むやみに症状を抑えてしまうと、「自然の治癒力を抑える」ことにもなってしまう可能性があるのです。
以上を踏まえた上で、飲むのを検討して下さい、風邪薬。

補足;もちろん、風邪症状が辛いのならばそれを抑える効果のある薬を飲む意味は十分にあると思います。(特に小児など。) ここでは一見元気そうなのに「風邪薬くださーい」といいがちな人へのアドバイスを書いています。

補足2;「風邪」だと思っていても、下記のような疾病が隠れていることもあります。その時は、右欄に書いたような有効な薬剤が存在しますから、「病院の先生に相談してね♪」

・肺炎;抗生物質
・インフルエンザ→抗インフルエンザ薬
ぜんそく;気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤
・鼻炎;抗アレルギー剤

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<シーズンイン!>


(おぉっ 神々しいお姿!)

・・・結果的に、何の生き物だか分かり辛くなって・・・


せんとくん (゜_゜>)