救急診療
ご無沙汰です
祝日、いかがお過ごしでしょうか?
さて今日は、昨今話題になっている?救急診療の話をしましょう。
先日、「医師が患者家族に『クソ、死ね』と暴言」というニュースがありました。
(詳しくはこちら→http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20150128/CK2015012802000084.html)
「なんということ!ケシカラン!」と思ったアナタ!
この新聞記事だけ読めばそうでしょう。
がしかし、事実は異なるようです。
業界ニュースから私が仕入れた情報は、以下のようです。
・次女の足に紫斑(紫のぼつぼつ)が出たことを心配した父親が、救急外来に次女を連れて受診
(ちなみに、一家はブラジル人であり、父親は日本語ができず、長女が通訳していたそうである)
↓
・救急外来担当医(小児科ではなかったらしい)が診察
↓
・諸検査の結果、自宅で様子観察・翌日小児科受診で良い。という診断となり、家族と患児にそのむねを説明
↓
・父、納得せず「他院を受診するから紹介状を書いて欲しい」と要請
↓
・救急外来では診断書を書かないルールになっていることを説明
↓
・父、納得せず大声で自己主張を繰り返す
↓
・小児科専門医を呼び出し一緒に診断・同様の説明をするも父納得せず
↓
・救急外来担当医が、「クソ、死ね」とつぶやく(面と向かって言ったのではないらしい)
↓
・それを通訳されて聞いた父親、激昂し救急外来担当医の胸倉をつかみ・両手で突き飛ばした
↓
・その後から患者家族が、医師たちの様子(延々3時間の謝罪らしいです)を、スマホとタブレットの計二台で動画撮影
↓
・その動画をyoutubeに投稿し、世界?に拡散
・・・・けしからんのはどっちでしょう? (゜-゜)
これ、父親が「完全なるクレーマー」ですよね?
この件に関して含まれる問題
#医師の判断を信用せず苦情を言ってくる、いわゆる「クレーマー」対応の難しさ
(夜間は、とにかく人手が足りないのです・・・)
#救急外来では専門医がいないことも多く、完璧な診断・対応が翌日以降になることについて国民いやマスコミの無理解・不寛容
#病院内で動画撮影することの可否
#ましてや、動画で顔をさらされたことに対して苦情も言えない医療側の弱い立場?
・・・ってところでしょうか?
本当は、この件をもっとニュースで取り上げて欲しかったのですが、間の悪いことに「イスラム国に日本人が殺害された」事件と重なってしまい、露出が少なかったのは残念でした。
後日、当該病院のHP上で事実の説明と、「対応が不適切でしたすんまそん。救急外来担当医に注意しますた。」みたいな病院長名義のメッセージが載りました。
が、
が!
私に言わせれば、
「救急外来担当医に注意するのは間違いでしょ!」
「君は悪くない、救急外来担当医!」。
まあ、
暴言を、クレーマー本人の耳に入る音量で言ってしまったのは脇が甘すぎるけど、
救急外来担当医の診療内容は、全く間違っていません。
病院長も、マスコミに押されて謝罪なんかしちゃだめよ。
名誉棄損と肖像権の侵害で、訴訟起こすくらいの気合(?)が欲しいね!
このニュースが出てから、2週間程度経ってしまったため、私のテンションもかなり下がってしまいましたが、
当時はかなりヒートアップしていました。
だってね
今はもう引退したけど、
若いころは、月の4割は当直していましたから。
ご存知ですか?当直って、
翌日、通常業務なんですよ。
休みじゃないの。(医師以外の職員は休みだけどね)
だから、下手すると、
連続37時間 いや、36時間勤務。
仮眠を取れることの方が多かったですが、
やっぱりきつかったなぁ・・・
当時でもきつかったのですから、
更に厳しさを増している今日の当直は、さぞかしきついことでしょうねえ・・・精神的に。
36時間連続勤務の後半で、こんなクレーマーにぶち当ったら、
不幸のどん底に落ちた気分になりますよ。
だからね、この救急外来担当医君が、臨床医を辞めてしまうのじゃないかと、
心配しています。心から
暴言を吐いていいということは、もちろんありませんが、
そんなギリギリの状態で診療しているのです。救急外来は。
なので、不幸にも救急外来を受診することになった時には、「必要最低限の医療行為を行うキャパしかないこと」を
ご理解頂きたいと思っております。
〜ちょっと前の話題ですが・・・〜
・・・そもそも、鬼が恵方巻きを食べてどうすんだ。
〜おまけ〜がんばれ受験生。
応援する気持ちが伝わりにくいかもしれませんが・・・・
頑張れ受験生。